「これで全員だな」

夕日が大きな窓から差し込み、部屋を茜色に染め上げる。

先ほど休憩させてもらった客間にりぃとお父さん、凪くんに文さん、柊さん、それからフカミ喫茶店の私達全員が集まっていた。

あの後、拓海先輩はレオンの小屋で薔薇の装飾を回収し、鑑定を済ませた。謎が解けたのか、拓海先輩が全員を集めるように言ったのだ。

「それで、マジックショーでも始める気かね」

「むっ……」

疑いの眼差しでこっちを見るりぃのお父さんに、つい身を乗り出すと肩を軽く後ろに引かれた。振り向けば、拓海先輩が私の顔を覗き込んでいる。

「拓海先輩……」

「後は、俺に任せていればいい」

なぜか、キュンとしてしまう。
いつも無口、クールな拓海先輩から放たれる優しい言葉は、アルマゲドンなみの破壊力があるのだ。

「今回の事件は幽霊なんて馬鹿げたものではなく、れっきとした人間の仕業によって起きた」

「じゃあ、犯人が分かったんですね!」

りぃの顔に笑顔が浮かび、それに拓海先輩は頷いた。そして、ソファーに腰掛けるフカミ喫茶店のメンバー以外の顔ぶれを見渡す。