「わかった、なら依頼品貸して」

傍にやってきた男の子は、私に手を差し出す。

──まさか、まさかだけど……。
私は嫌な予感が頭の端にちらつく中、尋ねる。

「え……君が、リペアをするの?」

「うん?そうだよ、僕がやる」

「えぇぇぇっ!?」

私は正気かと悲鳴を上げた。見た感じ小学生だし、この子に本当に修理が出来るのかと不安になる。

「マスター、この人失礼」

ムッとしたのか、男の子は軽く私を睨んでくる。

──あはは、嫌われちゃったかな……。

でも、こちらも大事なペンダントを工作の実験台にされる訳にはいかないのだ。

「来春さん、空くんはうちのリペアスタッフです。この通り小学3年生とお若いですが、これまでも沢山の依頼品をリペアしています、安心してください」

──ここのリペアスタッフって、まじかぁ。

お若いどころじゃないけれど、深海さんが言うんだからきっとそうなんだろうと思う。私は渋々頷いた。

「えっと、私は七海 来春です。よろしくね、空くん」

「僕は平井 空(ひらい そら)。これは絶対直すから」

私が差し出したペンダントを、空くんが挑戦的に受け取った。やっぱり嫌われたかもと、私は苦笑いする。