「猪突猛進すぎるにも、程がある!」
「すみません、つい……」
そう、つい獲物を見つけてしまって。それにしても、こんなに声を張った拓海先輩を見たのは初めてだ。 随分、心配をかけちゃったんだなと反省する。
「なんで、そこまでする」
「え……?」
「依頼のために、なんでそこまで一生懸命になれる」
依頼のためっていうか……それだけじゃない。
「りぃのお願いだったし、これで拓海先輩の無念も晴らせると思ったから……」
「それだけのために……」
お節介と負けず嫌いな性格が発動してしまったのだ。拓海先輩にはそれだけの事なのかもしれないけれど。
「私にとっては、重要な事なんです!」
拓海先輩の方へと向き直って、そう言った。すると、拓海先輩はさらに表情を曇らせてしまう。
「一歩間違えば、怪我していたかもしれないんだぞ!」
「それは、気づいたら体が動いてて……心配かけてすみません」
「……このイノシシ女が」
「……イノシシ!?」
──可愛くない、何それ、ひどっ。
人間から動物に降格した私は、いじけて地面に指文字を書く。
「バカ、拓海先輩、ブリザード」
「……俺を、怒らせたいのか」
ギンッと私を睨む拓海先輩。別に怒らせたいわけじゃない。言ったら怒るからここにストレス発散しているのだ。
「もう、無茶するな。心臓がいくつあっても足りない」
「あ……」
──それってやっぱり、心配してくれてたんだ。
言い方は素っ気ないのに、私は嬉しくて仕方なくなる。