「あ、私、里衣子の親友で……」
「……お前たち、里衣子を騙しているんじゃないんだろうな」
挨拶をしようとした私は、耳を疑った。
──騙してるって、私達が……りぃの事を?
りぃのお父さんは、胡散臭い詐欺師を見るかのような目つきでこちらを見てくる。
「お父さん!!」
「鑑定士だかなんだか知らないが、胡散臭い。どうせ、里衣子を金がなる木としか見てないんだろう。騙したとしか思えんよ」
そんな……確かに、拓海先輩の鑑定の力を誰かに信じてもらう事は難しい。だけど、そんな言い方って酷すぎる。
「君が鑑定士か、金輪際、里衣子には近づくな」
拓海先輩を見て、吐き捨てる様にりぃのお父さんが言った。それに、拓海先輩の表情が一層何も映さなくなっていくのがわかった。
「そんなバカげた力、信じる方がバカなんだ」
「…………」
拓海先輩は何も言わない。もしかしたら、私の親友のお父さんだから、気を遣ってるのかもしれない。
すごく悔しい……拓海先輩の事、本当だって説得できない事が、無力な自分に腹が立つ。
ついに、我慢が出来なくなった私は、大きく息を吸い込むと、その息を吐く勢いで怒りをぶつけた。
「一方的に、決めつけないでください」
私は、拓海先輩の前に立つ。たくさん傷ついてきた拓海先輩を、守りたかったのだ。
「お前……」
「お父さんは、拓海先輩の何も見ていないでしょう?」
驚きと戸惑いが混じったような声で、拓海先輩が私を呼んだけれど、私はりぃのお父さんから目を逸らさない。
いつもみたいに、文句の一つでも言えばいいのに。私に気遣って、それを言えない拓海先輩に私が耐えられなかったのだ。