「あ、これ……テープレコーダーだよ」

空くんがどこかへ歩いて行って、カチャリとボタンのようなものを押す音が聞こえる。すると、ピタリと呻き声が止んだ。

「よっぽど幽霊騒ぎに仕立て上げたいらしいな。これで、はっきりした。犯人は今日俺たちと関わったヤツの中にいる」

「そんな……」

拓海先輩の言葉を信じたくない。だって、私達を閉じ込めたり、そこまでする犯人が知った人だなんて、辛すぎる。何より、りぃが傷つくのではないかと不安になった。

「大体予想はついた」

でもきっと、このままでは駄目なのだ。少なくとも、ここへ来てから言葉を交わした人達はいい人だった。だからこそ、嘘をつかれるのも、そしてつく方も苦しむに決まってる。

ハッキリさせた方がいい。
そう思った私は、拓海先輩に尋ねる。

「……一体誰なんですか?」

しかし、拓海先輩が何かを答える前に、バンッと扉が開いた。暗い所にいたせいか、光が眩しく感じて目に染みる。

「来春!!」

「みなさん、ご無事ですか!?」

そこへ、りぃと柊さんが現れる。2人が助けに来てくれた事にホッとして、緊張していた体の力が少し抜けた。

「里衣子、彼らがお前の依頼した……?」

すると、りぃの後ろから白のスーツに赤いネクタイを身に着けた、どこのマフィアかとツッコミたくなる強面の男性が現れる。その顔には見覚えがあった。

──あ、あの人って確か……。

前にりぃの家に遊びに行った時も、見かけた事がある。

「紹介遅くなってごめんね、父です」

りぃが父親だと紹介したのは、強面の男性だった。

──やっぱり、りぃのお父さんだったんだ。

そして、インテリアショップの社長さんでもある。