「わぁ……っ」
喫茶店なのに1つしかないテーブル。他はカウンターだけの変わった空間。薄暗い店内を照らす唯一の光は、小さなシャンデリアだ。
そして、この重厚な雰囲気の中にある、異色。
キラキラと輝く石がはめられたアンティークアクセサリーに、大昔の貴族が着ていそうなくすんだ白のドレス。
「深海さん、この人形は……」
「チェコのパペットだそうです」
「じゃあこれは!?」
「オランダから仕入れたらしいのですが、用途は不明ですね」
意味のわからない奇天烈な物が、ここには沢山あった。綺麗なブロンドのアンティークドールに、星のオーナメント。
「まるで、宝箱に入ったみたいっ……」
溢れかえるアンティークに、私の好奇心と冒険心は爆発しそうだった。
「マスター、騒がしいけどお客さん?」
すると喫茶店の奥、階段から降りてきた男の子が声をかけてきた。
「空くん、ちょうど呼びに行こうと思っていたところでした」
「リペア?」
「えぇ、彼女のペンダントをリペアして欲しいのです」
──え?
幻聴かと思った私は、どういう事かと深海さんを凝視した。



