近くの山はだんだんくすんだ黄茶色に染まってきた。
少し前まで枝には真っ赤に染まる紅葉の葉がたくさんついていたのに、ずいぶん風に飛ばされてしまったようだ。


「朝陽はどうしてこの神社に来ているの?」


隣に座る朝陽に、ずっと気になっていたことを思い切って尋ねた。
すると彼は、空を見上げたまま微動だにしない。

私の話が聞こえているのか心配になるほど、白いベールがかかったような薄いブルーの空をじっと見つめていた。

聞いてはいけなかったのだろうか。

私も同じように空を見上げ、ゆっくり呼吸を繰り返していると「つぐは……」と朝陽がやっと口を開いた。


「なに?」

「つぐは、俺の言うこと、信じるか?」


空から私に視線を移した朝陽は、すこぶる真剣な顔つきをしている。