「あはは」
「あははじゃない。なんだよ! 吐けー」
朝陽が箸を置いて私の鼻をつまむ。
「痛いって。朝陽、苦手克服」
私がそう言うと彼は唖然としている。
「は?」
「それ、ナスがたっぷり入ってるの。皮をむいておいたから、わかんなかったでしょ」
朝陽は野菜全般が好きじゃない。その中でも特にナスが苦手。
絶対にナスだけは食べないと言っていたから、どうしても食べさせたかった。
「ナス!?」
朝陽は慌てて箸を持ち、必死に中身を確認している。
「あ、これか?」
「うんうん。そう」
「やられた。でも、これなら食えるかも」
彼はそう言いながら、もう一口食べてみている。
「なんだよ、ナス。お前、うまいじゃないか」
ナスにそんなことを話しかけている彼がおかしくてたまらない。