虹、か……。
空を見上げると、次第に雲が厚くなってきて虹は見えそうにない。
この雲が過ぎ去りまた晴れたら、虹は見えるのかな。
雨はさほど強くはならなくて助かった。
それでも、傘を持っていない私たちは、雨宿りに近くのコンビニに向かった。
「ほら」
すると朝陽は温かいコーンスープを買ってくれた。
「あー、ジワジワくる」
風は生暖かかったとはいえ、強かった。
そのせいで冷えた指先が、スープの缶で温もりを取り戻す。
「つぐは冷え症だな」
私が両手で缶を握りしめていると、その手を朝陽の両手が覆った。
なんだろう。この胸の高鳴り。
経験したことのないくすぐったいような感情に戸惑ってしまう。
それなのに朝陽は、平然と私を見つめて微笑んでいる。