幸い近くにあった総合病院に駆け込むと、すぐに処置してもらうことができた。
「とりあえず傷は縫うよ。あと、狂犬病と破傷風が怖いから、ワクチンと抗生剤を投与するね。犬はつかまってないんだね。すぐに警察に届けよう」
適切な処置をしてくれる先生に頭を下げながら、やっと気が抜けて涙がポタリと零れた。
傷の処置が終わると、点滴をつながれた私はしばらく処置室で安静となり、すぐに朝陽が入ってきた。
「助けてくれて、ありがとう」
あのとき、彼が来てくれなかったら、足だけでは済まなかったかもしれない。
「ううん。無事でよかった」
彼は笑うと優しい目になる。
さっきあの犬に殴りかかったときの殺気は消えていた。
それから看護師が入ってきた。