それなら晴れの日は心休まるの?
「雨がやんだ後、虹が出ることがあるだろ?」
虹……。
朝陽の口から『虹』という言葉が出るのを聞くと、あの封筒を思い出してしまい、全身を微弱な電流が駆け抜ける。
「……うん」
「あの虹って、渡れるんだぜ」
嘘ばっかり。
でも、朝陽が私を励まそうとしてくれているのがわかって、私はコクンとうなずいた。
「その楽しみのために、今はちょっと悲しいだけ」
「そっか……」
訳もわからず泣き叫びたくなっていた気持ちが、ストンと治まってきた。
ゆっくり朝陽から離れて顔をあげると、彼はニッと笑ってみせる。
「明日も弁当作れよな」
「また?」
「だって、一度うまいもん知っちまったら、もう焼きそばパンには戻れないだろ」