毎日のように早紀をいじめていたくせに、今は早紀なんて最初からいなかったように振る舞うクラスメイトを見ていると、私が突然消えたとしても、誰も気づかないかもしれないなんて思えてしまう。


他人は他人。自分は自分。
結局のところそれが真理であって、誰かとつながりたいなんて思うのは間違いなのかもしれない。


でも……朝陽は?

朝陽も、私のことなんていつか忘れちゃうのかな。
そんなことを考えながら、階段に向かった。


「キャッ」


半分くらい下りたところで、濡れた落ち葉に足をとられて滑ってしまった私は、一瞬転げ落ちることを覚悟した。
でも……。


「危なかった」


「はー」と大きな溜息を吐く朝陽が、私の腕をつかんで止めてくれた。
もしかした巻き添えになって転げ落ちたかもしれないのに。