「多分、変わることを……許されてない」
「許されてないって?」
朝陽の言葉が引っかかる。
自分を変えることに、誰かの許可なんて必要ないのに。
「いや、なんでもない。今日は帰るか」
まるでこれ以上俺の領域に入ってくれるなと言われているようで、隣にいるはずの彼が、急に遠くに行ってしまった気がした。
ポツポツと降り始めた雨はまだ粒が小さく、肌に触れても痛くはない。
あの日から雨は私に憂鬱な気分を運んでくる。
雨が降るたび、机と壁の隙間に落ちてしまった鉛筆のように、そのまま忘れ去られてしまうような恐怖を感じる。
私の存在なんて……そんなちっぽけなもの。