「いただきますしてからですよ」
「はーい。お母さん」
どうやら朝陽の方が何枚も上手だ。
あっさり冗談をかわされてしまった私は、朝陽に弁当箱を差し出した。
すると『いただきます』はどこにいったのか、早速ふたを開けている。
「すごいじゃん、つぐ」
『すごい』と言うほどではない。
朝陽には大き目のおにぎりふたつ。
おかずはチーズ入りの卵焼きと、ヒレカツ。あとはミニマカロニグラタンと、昨日の晩ご飯の残りのきんぴらごぼう。
毎日のことだから、材料はたくさん冷凍庫に準備してあり、朝少しずつ手を加えている。
「いただきます」
忘れているかと思ったら、彼はきちんと手を合わせてからおにぎりにかじりついた。
本当にお腹が空いていたらしい。