「足、大丈夫なのか?」
「うん。まだ歩くとちょっと痛いけど、腫れも引いてきて順調だよ」
そうは言っても、スタスタと上がれるわけではない。
彼が隣で抱えるように支えてくれたから、一歩一歩踏みしめるように上がった。
「はぁー、疲れたー」
やっとのことで鳥居をくぐると、思わす大きな声が出た。
昨日寒かったからと薄いコートを羽織ってきたのに、うっすらと汗ばむほど大変だった。
こんなに大変でもここに来たいのは、やっぱり私にとって大切な場所だから。
『早紀、ただいま』
心の中でそうつぶやくと、いつもの定位置に座る。
今日の風は昨日より生暖かい。
これは雨が降る。
「もう限界だ。弁当食わせてくれー」
私の隣に座った朝陽が子供のように弁当を要求するから、ちょっとイジワルしたくなる。