そうか、朝陽は受験生。
大学の推薦枠を狙ってるんだ。
でも、問題を起こしたなんて、あんまりだ。
仕掛けてきたのはあの先輩の方。
朝陽は私を守ってくれただけ。
「失礼します」
私は慌ててドアを開けた。
私が入っていくと、朝陽は振り向いて目を見開く。
「どうして、つぐがここに……。コイツは関係ありません。ただ、俺を止めただけです」
朝陽の発言に驚いてしまった。
どうして私をかばうの?
「違います。九条くんは、私が三年の先輩に囲まれていたのを助けてくれました」
もしかして朝陽は、いじめの告発をして先生からにらまれている私を、助けようとしてくれているのかもしれない。
「つぐ、いいから黙れ」
朝陽はそう言うけれど、私は首を振った。
早紀のときのように、後悔したくない。