『持ってろ』って偉そうに……。
でも私が持っていれば、必ず彼は来るはずだ。


「……わかった」


迷惑かもしれないけれど、ちょっとだけ甘えてもいいかな。

早紀の事件があってから、私は常にひとり。
たくさんの笑い声の溢れる教室でひとりで食べるのは、想像以上に辛い。

それにも慣れてきたとはいえ、やっぱり隣で誰かの体温を感じているのは楽しいと昨日気づかされた。


今日は教室移動はない。
昼休みが来るのが待ち遠しくなった。


四時間目が終わると、三年生の女子が三人やってきて私を呼んだ。
イヤな予感がしたけれど、行かないわけにはいかない。

廊下に出ると、いきなり松葉づえを足で払われ、倒れそうになる。


「あなた、最近朝陽くんと一緒に登校してるらしいじゃない」