まったくマイペースな彼だけど、彼がニッと笑うから私もおかしくてたまらない。


「朝陽の胃って、分割されてるんだ」

「おぉ、それぞれ消化液が違ってな……なんて器用にできれば面白そうだな」


『器用に』か。
器用に生きられたら、もっと楽になれるのかな。

早紀の死は早紀の死として受け止めて、自分の人生とは切り離せたら……。

そんなことをふと考えたけれど、そういう訳にはいかない。
やっぱり早紀と過ごした時間は私の人生の一部だったのだから。


「つぐ、どうかしたのか?」

「ううん。なんでもない」


私は首を振ったけど、朝陽は一瞬顔をしかめた。


「弁当、一緒に食うか」

「一緒に?」


自分の教室で食べるのが普通だけど……。


「うん。昼休み、迎えに行くから、そのときまで弁当持ってろ」