「つぐにとっても大切な場所だろ?」


彼がそう言うから、目を見開いた。


「今日からは、ふたりの秘密基地だ」


『秘密基地』なんて小学生の隠れ場所みたい。
でも、彼の言葉が私の心を温める。


「いい、の?」

「いいもなにも、俺ん家じゃなくて神様の家だから」


もう高校生の彼の口から『神様』なんていう言葉が飛び出したのが意外で、思わずクスッと笑ってしまった。


「なに笑ってるんだよ」

「だって神様の家って……」

「だってそうだろ。神様はいるんだぞ」


古ぼけた社に視線を向ける彼は、いたって真剣な顔をしていた。

さんざん早紀に思いを伝えてほしいと願ったくせに、どこかで神様なんていないと思っていた。
でも、朝陽は違うのかな?


もし神様が本当にいて、私たちを見守ってくれているのだとしたら……私はこの先どうしたらいいのか、教えてほしい。