「朝陽、もういいよ。朝陽が遅刻しちゃう」
松葉づえの私は授業に遅れたとしてもとがめられないだろう。
でも朝陽は……。
「つぐは、俺を冷酷人間だと思ってんの?」
「思ってないけど……」
冷酷人間だったら、こうして来てくれてない。
「お前が気にするなら、ほら」
彼は私の前にしゃがみ、あの時と同じように背中に背負おうとする。
「い、いいから……」
「そうだな。階段でパンツ見えそうだしな」
「え!」
「ピンクのパンツ」
嘘……あのとき、見られた?
犬に噛まれた場所は太ももの上の方だった。
だから彼がスカートをまくり上げ傷口を縛ってくれたとき、見えてた?
あのとき、何色のパンツをはいていたかまでは覚えてないけど……。
「もしかして見たの?」
「見えちゃった、が正しい」
「もー!」