担任はきちんと調べると言ってくれたのに、ふたを開けると、調査をしたもののいじめの事実は確認できなかったという答えだった。
学校ぐるみで隠ぺいが行われたのだと知り、唖然とした。
だって、あのいじめを知らなかった人なんて、一年生には絶対にいない。
それに、私は目の前で見ていたんだから。
早紀は、私に残した手紙以外に遺書のようなものを残してはいなかったらしい。
私は、あの手紙の存在を学校や警察に知らせるべきか迷ったけれど、黙っておいた。
あれを見てもいじめがあったことはわからないし、早紀との大切な思い出まで持っていかれるのはイヤだった。
それからいじめに加担していたクラスメイトは、私に『余計なことは言うな。お前も早紀みたいになるぞ』と無言の圧力をかけてきた。
でも早紀を失った今、そんなことはどうでもいい。
話したくないのは、私の方だった--。