どこに行けは、早紀に会えるの?
あの駅に行けばもしかして……と思ったけれど、早紀のいなくなったあの場所に冷静に立てる勇気は、まだない。
結局弁当箱を抱えたまま、どこに行くわけでもなく歩いていると……。
「あっ」
小さな頃よく遊んだ神社の鳥居が目に入った。
朱色だった鳥居は、雨風に打たれたせいで風化してすっかり古ぼけてしまっていたけれど、私は久しぶりにそこに行きたくなった。
それは、神様の近くなら、早紀に会えるかもしれないと思ったのもある。
石でできた長く急な階段は、すぐに私の息を上がらせる。
小さい頃は平気だったのに。
途中で振り返ると、フワッと風が吹いてきて、早紀が飛んできてくれた気がした。
そして鳥居をくぐると、これまた古びた社の前の階段で、弁当箱を開けた。