「早紀は私に助けてほしかったんだと思います。でも、私の前では笑ってた」


それから早紀がいじめられていたこと、私は自分がいじめの標的になるのが怖くてなにもできなかったことを話してしまった。

ずっと誰かに聞いてほしかったんだと思う。
ひとりで抱えるには大きすぎる荷物だった。


「つぐみちゃんが怖くて早紀ちゃんを助けられなかったことを責めることなんて、誰もできないわ」


「ふー」と大きな息を吐いた先生はさらに続ける。


「死を選んだ早紀ちゃんが弱いと言う人も、手を差し伸べられなかったつぐみちゃんがいけないという人もいるかもしれない。でもそれは違うの。誰かを傷つけてしか生きられない人は、本当ははすごく弱い人。攻撃していないと安心できない、弱い人」