私の、傷? そんなのどうでもいい。
私の心なんて、どうなっても……いい。

早紀を、返して。


それから再び激しい頭痛が私を襲ってきた。
そして、もう何日も徹夜した後のような疲労感に突然襲われ、目を閉じた。


私が目覚めたときには、なにやら食べ物の匂いが漂っていた。
病院の朝は早い。そろそろ朝食の時間らしい。


「高瀬さん、おはようございます。検温です」


突然ズカズカと入ってきたナースは、カーテンを開け、私に体温計を渡す。
すぐに「ピピッ」と音を鳴らした体温計を取り出すと、「大丈夫そうですね」とうなずいた。


「体調はいかがですか?」

「大丈夫、です」

「朝食が来ますので、食べてください。また後で来ますから、残したら残した量を教えてくださいね」

「はい」