なにを……。そうだ!
「『自動扉、間に合わなかったみたい』って」
「自動扉?」
「もうすぐあの駅にもできるって言ってました。新幹線のホームみたいな……」
それだけで先生はピンと来たようで、「そう……」と目を泳がせた。
あのとき早紀は、『ホームに落ちないように』と言ってた。
『間に合わなかった』というのは、あれば飛びこまなかったのにということだろうか。
いや、もし自動扉が設置されていても、他の方法で彼女は命を――。
無意識に顔がゆがんだのか、野上先生は私の手をギュッと握り直す。
「あっ……」
「どうしたの?」
「いえ、なんでもありません」
そのとき、早紀が三日前にくれた手紙を思い出した。
かわいらしい彼女にピッタリなピンクの封筒には、パステルカラーで虹が描かれていた。