ちょっと重いテーマにもかかわらずお付き合いくださいました皆様、ありがとうございました。


このお話を書くきっかけになったのは、まさに『自動扉が間に合わなかった』からでした。

私のよく知っている駅で、早紀と同じようなことがありました。中学生の男の子でした。

私は亡くなったその子のことを知らないし、どうして死を選んだのかも知りません。
でも、そのニュースを聞いたとき、辛くてたまりませんでした。


生きたくてもなんらかの事情で生きられない人もいます。
せっかくこの世に命を授けられたのですから、本来ならばその命をまっとうすべきでしょう。
でも、その男の子のことを責める気にはなれません。


作中にも書きましたが、寿命ではない”死”は多くの場合苦痛を伴うようにできています。
それは簡単に死を選べないように、神様が決めたんじゃないかとさえ私は思っています。


それにもかかわらず自死を選ぶということは、その身体的苦痛より、精神的苦痛が上回ってしまったことを示しているのだと思うんです。
その男の子もそうだったんじゃないかと。