「朝陽……おめでとう」
彼は自分で未来をもぎ取ったんだ。
うれしい涙は何度だって流したい。
合格通知を胸に抱き、ポロポロと涙を流し始めると、「泣き虫」とうしろから突然抱き寄せられた。
「朝陽……もう、バカ! びっくりするじゃない」
驚かせないで。
彼の腕をギュッと握り声を振り絞ると、彼は私の肩に顎を乗せた。
「これで上書き終了」
「上書き?」
「うん。この神社にある手紙は、悲しみの手紙じゃない。喜びの手紙だ」
そうか。
彼も一度目の手紙を書いたとき、死に向かうつもりだったのだから、苦しかったに違いない。
私も胸が張り裂けそうだった。
でも、この合格といううれしい報告が、辛い過去を上書きしてくれる。
「俺、頑張っちゃった」
「うん、おめでとう」
涙が止まらず、声が震える。