そして、それを六十回ほど繰り返したその日は、昨日の夜降った雪が山々を真っ白に染めていた。
学校の帰りに足早に神社に向かうと、約束している朝陽の姿はない。
今日は、第一志望のK大学の合格発表があったはずなのに、まだなのかな……。
ダッフルコートを着ているのに、寒さが体を突き刺してくる。
いつもの定位置に座ろうとすると……。
「あれっ?」
また社の扉に手紙が挟まっているのを見つけた。
「朝陽?」
ドクンドクンと心臓が高鳴りだして、体が震える。
あのときの光景を思い出してしまうのは、あの手紙があまりにショックだったからだ。
でも今日は違うと信じて、手に取った。
「あ……」
封の開いていた封筒には、九条朝陽という彼の名前と……”合格”の文字。