「肉も食わせてくれー」
「あはは、それなりにはね」
顔を見合わせて笑えるこのあたり前の光景が、こんなに貴重だと今まで知らなかった。
でも、それを知った私たちは、ここにこうして生きていられることのありがたみを噛みしめながら、これからも生きていく。
「なぁ、つぐ。俺、これから必死に戦ってくる。だから、待っててくれるか?」
「うん。待ってる。ずっと待ってる」
だって私たちには未来があるもの。
受験の一番大切な時期を入院でふいにしてしまったものの、推薦入試以外はまだまだこれらが本番。
朝陽は一般入試で、いくつか受験することにしている。
とはいえ……入院中によくふたりで勉強をしていたけれど、さほど勉強しているように見えなかったくせにどうして!と思うほど彼は賢く、基本問題でつまずく私を彼はおかしそうに笑った。