「つぐ」


立ち尽くして泣き続ける私を、朝陽は呼んだ。


「うん」


ベッドまで歩み寄り椅子に座ると、彼は大きくて少しゴツゴツした手で私の頬の涙を無造作に拭う。


「入院はたまらなく退屈だけど、俺、生まれ変わってよかった」

「朝陽……」

「つぐに、会えたからな」


泣かせるようなことばかり言わないで。
いつまで経っても感情の波はうねりが高く、収まる気配もない。


「つぐ。この間言えなかったけど……俺、つぐのことが、好きだ」


朝陽の言葉に、一瞬、息をするのも忘れる。
ハッとして彼を見つめると「ホント、泣き虫」とケラケラ笑われてしまった。

でも、すぐ真顔に戻った彼は、再び口を開く。


「つぐに会いたくてたまらなくて……戻ってきた。つぐが待っててくれるって、わかったから」

「朝陽、おかえり。私も、大好き」


すごく恥ずかしいことを言っているのに、もっともっと言いたい。
あなたが好きですと。

彼はやっぱり涙を止められない私の頭を、優しく撫でる。


「つぐ、一緒に未来を歩こう。一緒に笑おう」

「うん」