朝陽がなにを言うのかと思うと緊張しすぎて倒れそうだった。
だけど、朝陽は表情ひとつ変えることなく、裕一先輩を見つめている。
「俺……やっぱりお前のこと、許せないわ。心が狭くてごめんな」
先輩を許すものだとばかり思っていたから、意外な言葉に驚きつつ、ふたりの様子を見守る。
「当然だ」
裕一先輩は頭をあげようとはしない。
「でもさ、俺がお前を殺すと、泣くヤツがいるんだよ」
朝陽……それって……。
「自分もいっぱいいっぱいなくせして……それでも必死になって、俺に楽しい、うれしいって感情を思い出させようとするヤツがいるんだよ」
白い床にポタポタと涙がこぼれる。
たいしたことはなにもできなかったけど、私の想いはちゃんと朝陽に届いていた。