でも、もしかしたら朝陽は、もう一度裕一先輩にかけたような気がする。
二度目は思いとどまってくれるんじゃないかと。
ふたりは親友だったと聞いた。
それなら尚更だ。
「俺……朝陽になんてこと……」
唇を噛みしめる裕一先輩の目から、大粒の涙がポロポロとあふれ出す。
「生きていなくちゃ、なにもできない。今日辛いことがあっても、明日は笑えるかもしれないんですよ」
今の苦しみに耐えきれず明日を諦めたら、楽しいことに触れることすらできない。
たとえ受験に失敗したとしても、また来年がある。
結果に落胆したとしても、その一年の間に大切な人に出会える可能性だってある。
そうしたら、生きていることが楽しくてたまらなくなるかもしれないのに。
今の、私のように。