「朝陽は生きています。今、先輩は不幸ですか?」
あのケガでは、推薦入試を受けることさえままならない。
でも、朝陽はそんなことに落胆なんてしていない。
だって、未来があるんだから。
「それは……」
先輩は目を泳がせ、肩を落とす。
「朝陽は、推薦なんていらなかったんだと思います」
どう転んでも命を落とすとわかっていた彼が、あえてまた推薦を受けたことを不思議に思っていた。
最初は突き落されそうになるところを逆に突き落とし、復讐したいという怒りだけでそうしたのかもしれないと思った。
でも、本当は違ったような気がする。
「朝陽は、先輩に目を覚ましてほしかったんじゃないでしょうか」
これは私の完全な憶測だ。