「朝陽は……」


先に口を開いたのは先輩だった。


「少しずつ元気になってきました。大きな事故だったのでダメージが大きくて、まだ横になっていることの方が多いのですが」


私がそう伝えると、彼は「はー」と大きく息を吐き出した。
心配してくれていたのだろうか。


もしかして裕一先輩は、朝陽がこの世からいなくなることをまだ望んでいるのかもしれないと思っていた。

屋上でのことがあったとはいえ、あれは私たち三人しか知らないし、一度目とは違い今回は先輩とはまったく関係のない事故だ。
殺そうとしていたことさえ黙っておけば、推薦も手に入るし、罪の意識からも逃れられる。


「先輩は……朝陽を殺せば、幸せになれるはずだったんですか?」


できるだけ冷静に言うと、裕一先輩は目を見開いた。