その日も、学校から真っ直ぐ病院に向かった。
会見のせいで少し遅くなってしまったものの、朝陽に会えると思うと、足取りも軽やかで改めて彼の存在の大きさを感じる。
すると、彼の病室の前に制服を着た男の子がウロウロしている。
「あっ、先輩……」
それは裕一先輩だった。
「あっ、あの……いや、帰るよ」
先輩は私を見つけると、しどろもどろになりながら出ていこうとするから慌てて止めた。
「待ってください。朝陽には会ったんですか?」
私が尋ねると、彼は苦しげな顔をしたまま首を振った。
「先輩、ちょっとお話ししたいです」
朝陽にも会ってほしい。
会って謝ってほしい。
でもその前に……。
先輩は少しイヤそうな顔をしながらも、私と一緒に中庭に出てくれた。