他人を傷つけないで、ひとつでも多くの楽しいことを探して自分の心を穏やかにしてほしい。

私がそう言うと、金子さんはうつむき加減で小さくうなずいた。



学校の謝罪会見は、夕方行われた。

実に形式的に反省文のような物を校長が読み上げ、作ったような神妙な面持ちで頭を下げた会見は、正直言って不快だった。

ただ、森田先生が言っていたように、世の中いろんな人間がいる。

自分の身を守ることしか考えていない人も、その逆で他人のことばかり考えて自分を犠牲にしても、その人を守ろうとする人も。


価値観の違う人の集まりなんだから、なにかに深く傷つくこともあるし、もしかしたら自分の何気ないひと言が誰かを傷つけているかもしれない。

だけど、もし間違えてしまったら真摯に反省して、謝れる人間でいたい。
校長先生のようにうわべだけでなく、心から。

そうすれば早紀も死に急ぐ必要はなかったはずだ。