早紀。

私は生きるよ。
あなたの分も、生きる。

この先なにが起ころうとも、私は生きることを絶対に諦めない。
朝陽が諦めなかったように。

だって私には、泣いてくれる大切な人たちがたくさんいるんだもの。



次の日学校に行くと、金子さんの姿がなかった。


「金子、自主退学だって。今校長室に来てるらしいぜ」


佐藤くんがそう教えてくれると、私はとっさに走り出していた。
行かなくちゃ。


社会的には、先生がいじめを認めて頭を下げ、加害者の生徒が退学し、それで一件落着なのかもしれない。
でも、私が望んでいるのはそんなことではない。


――ガラッ。


校長室のドアは立てつけがちょっと悪い。

勢いよく開けたのに半分しか開かなかったドアから、目を真っ赤にした金子さんの姿が見えた。