「腎臓、なくなっちまったみたいだな」


聞いたんだ……。
私がコクンとうなずくと、彼は一度目を閉じてから口を開いた。


「でも、命を助けてもらえた……」

「そうだよ。神様が、未来をくれた」

「そのままくれればいいのに、イジワルな神様だなぁ」


朝陽はそう言いながらも、うっすらと目に涙を浮かべている。


「でも、本当に生かしてもらえるなんて……」

「多分、朝陽がしつこかったからよ。生きていたいって、しつこく食い下がったからよ」


私も泣きそうになって慌ててそう言うと、彼は「そうだな」と口角をあげた。


「朝陽、ありがとう」

「なんでありがとうだ? 俺の方が、ありがとうだよ」


朝陽はそう言いながら、私の手を握った。