『君は』って?

頭が、痛い。割れちゃう……。
ミシミシと音を立てて頭蓋骨を砕かれるような激しい頭痛が襲ってきて、私はプッツリ意識を失った。


鼻をくすぐる消毒の匂い。
どこからか聞こえる、「ピッピッ」という規則正しい電子音。


「つぐみ?」


誰かに名前を呼ばれた気がしてそっと目を開けると……。


「お母さん……」

「つぐみ、よかった」


たちまち瞳が潤んできて、透明の液体が母の頬を伝う。
どうして、泣いているの?


「あっ……」


でもその瞬間、すごい勢いでなにかがフラッシュバックしてきて、私の心にメリメリと侵入してきた。

その瞳、さっきも見た。

悲しくてたまらなくて、でもようやくひと息つけた。そんな安堵の気持ちが混ざり合ったような、瞳を。