先生は少し困った顔をして私を見つめる。でも……。


「大丈夫です。私には大切な人がいるから。私が死んじゃったら、その人たちが泣いて泣いて困っちゃう」


血だらけの朝陽を見たとき、彼が逝くなら一緒に逝ってしまいたいと思ったほどだった。
それほど彼は私にとって大切な存在になっている。
彼のためにも、私は生きる。


「あはは、そうか。高瀬がそれをわかっててよかったよ。でもな、辛いときは誰かを頼れ。お前は自分が思っているより弱いんだぞ」


そうかもしれない。
今は気持ちのままに突っ走ってもなんの後悔もしないつもりだけど、いざなにもかも失って我に返ったとき、冷静ではいられないかもしれない。


「森田先生、意外といい先生なんですね」


森田先生は、普段はあまり笑顔も見せず生徒とも仲良く話しているところも見たことがない。

教師という仕事でお金を稼いでいるだけで、私たちになんて興味がないのかと思っていた。