「消しても無駄です。コピーはもう新聞社にあります」
先生たちが協力してくれないことなんて、わかっていた。
信用なんて、してない。
やっぱり私はこの学校を追放されるのかもしれないな。
父と母の顔が一瞬頭に浮かび申し訳なくなったけれど、後悔はない。
それから先生たちは黙り込んでしまった。
「失礼します」
しばらく沈黙が続いた後、校長室のドアが開いて、化学の森田(もりた)先生が入ってきた。
「取り込み中だ。後にしなさい」
そうたしなめられたものの、森田先生はためらうことなく入ってくる。そして……。
「私たちも反省すべきです。私もいじめを知ってました。ですが、担任ではないからと、なにもしませんでした」
森田先生のひと言に、校長が目を見開く。