我慢しきれずあふれたひとすじの涙が頬を伝う。

すると金子さんが眉間にシワを寄せ、あからさまにイヤそうな顔をした。


「私は戦います」

「バカね。そんなことをしていたら、学校から追放されるかもよ? そうしたら大学もパァね」


金子さんの取り巻きのひとりがそう言うのを聞き、善悪の判断がつかなくなっているかわいそうな人だと思う。


「もし追放されても大検がある。そんなものと、早紀の名誉を天秤にかけるつもりはないわ」


裕一先輩が間違えたように、そんなことを言う人は間違っている。

本当は緊張で足がガタガタと震えていた。
だけど、朝陽が踏ん張ったように、私も――。


「少しも心が痛まないの? 命がひとつなくなっちゃったんだよ?」


唇を噛みしめたのに、涙が止まらなくなってしまった。