自分の机にカバンを置くと、そのまま教壇に行きクラスを見渡した。
そして……。
「新聞社に告発したのは、私です」
金子さんの目を見ながらそう口にすると、一瞬教室の中がざわついた。
廊下と教室を隔てる窓には人だかりができている。
「早紀は……弱かったから死んでしまったんじゃない。彼女を傷つけた人がそんな言い訳を隠れ蓑にして、次のターゲットを探しているのを、許せない」
呆然と私を見つめるクラスメイト。
それもそうだろう。
こんなふうに前に出て話すことは今までなかった。
「私は、後悔してる。自分もいじめられるのが怖くて、早紀を救えなかった」
早紀の顔が頭に浮かんで、鼻の奥がツーンとする。
「でも早紀は……ありがとうしか言わなかった。なにもできなかった私を責めてもよかったのに……」