大人に反発するのが私たちの年代の専売特許だと思っていた。

だから私も長い間父とまともな会話をしてこなかったし、好き勝手やって怒らせたこともあった。

それでも、少し離れたところから見守っていてくれたのかもしれない。


「ほら、早く食べなさい。疲れてるんだから早めに寝ないと」


母が目にいっぱい涙をためながらそう言ってくれるから、私は大きくうなずいた。


次の日の朝は、いつもよりずっと早めに起き、早速新聞をチェックした。

大きな記事というわけではなかったけれど、増田さんの書いた記事は、三面に載っていた。
これから事態が動いていけば、もっと大きな記事になるかもしれないと言われている。


「早紀、始まったよ」


これからどうなるかわからない。
それでも、二人目の早紀を出したくないと強く心に誓い、家を飛び出した。