お父さんがそう言ってくれるから、私はうなずいた。
ずっとここにいたいけれど、私も前に進むと決めたから。
「あの……いじめの件ですが、手伝っていただけませんか?」
「もちろんだよ。高瀬さんのその心意気、応援したいからね」
「ありがとうございます」
お昼過ぎに増田さんから連絡が入り、明日の朝刊に記事が出ることになっていると聞いた。
「それでは、失礼します」
ICUの前で「おやすみ」と朝陽に心の中で挨拶をしてから、病院を後にした。
「私ね……」
その日の夕飯は、家族三人で。
いつもは帰りの遅い父がこうして一緒に食事をとるのはまれだ。
だけど、私の周りで立て続けに起こった事件や事故を心配して、最近は早めに帰ってきてくれる日も多くなった。