その続きは聞けなかったけれど、私たちはうれしさのあまり、声をかみ殺して泣いた。


その日はそれから彼が目を覚ますことはなかった。
術後の経過は順調だけど、大変なダメージがあって、熱が出ているらしい。

彼は、今も必死に戦っている。
私も戦うよ、朝陽。


「高瀬さん、お弁当おいしかったわ。ありがとう」


朝陽の声を聞けたことでひと安心した両親には、彼の身の回りのものをそろえるために一旦家に帰ってもらった。
そうしたら丁寧に弁当箱を洗ってきてくれた。


「いえ。朝陽くん、本当によかったです」

「また一日付き合わせて申し訳なかったね。もう私たちがついているから、安心して学校に行きなさい。なにかあったら、すぐに知らせるからね」