もしかして急変?と心配になったけれど、なにも情報は入ってこない。

両親を呼びにいった方がいいかもしれないと思い始めたとき、カーテンの中から看護師が出てきて、こちらに向かってきた。


「九条さんの付き添いの方ですか?」

「はい。あの……なにかあったんですか?」


聞きたいのに怖くてたまらない。でも……。


「九条さんが意識を取り戻されて……『つぐ』と、どなたかを呼んでいらっしゃるのですが」

「あの、私です」

「来てください」


看護師に促された私は、特別な白衣を着て中に入らせてもらった。


「朝陽」


彼の体にはたくさんの管がついたままだ。
それでも心電図は規則正しい鼓動を記し続けていて安心した。


「ずっと呼んでいらっしゃいます。呼びかけてあげてください」