「朝陽を生かしてくれて、ありがとうございました」
腎臓はひとつ失ったけど、彼なら強く生きていく。
「必死に生きます。毎日、必死に」
ずっと、ただ流されて生きてきた。
なんとなく学校に通い、特にやりたいこともなく、淡々と時間が過ぎるのを惜しいとも思わなかった。
でも、生きていることがこんなに価値のあることだとわかった今は、毎日を精いっぱい生きようと思う。
階段を下りようとすると、ブワッと強い風が吹いてきて、頬を冷たい風が駆け抜けた。
まるで、神様が目の前を通ったかのようだ。
「また来ていいですか? 今度は神様にもちゃんとお弁当を持ってきます」
私たちにとって、ここは特別な場所。
これからもずっと通いたい。