誰も協力なんてしてくれないと思っていたから驚いた。
『もっと聞きこんでいけば、学校も認めざるを得ないと思う。だけど、これは岸本さんの問題だけじゃない。どの学校にもいじめはあるし、社会問題なんだ』
「はい」
熱く語る増田さんに、思わず電話口でうなずく。
『今まででわかったことだけで、とりあえず紙面に載せるつもりだ。僕はいじめはあったと確信している。二人目の岸本さんが出てしまう前に、なんとかしたい』
イチ高校生の話を信じてくれた増田さんはまだ若く、きっとまだまだこれからの人。
それでも、記者生命にかけると言いきってくれる。
その行動力と熱さに胸を打たれた。
私は素敵な人に巡り合えた。
「私……早紀を死に追いやった彼女たちが憎いです。でも、彼女たちには自分のしたことにきちんと向き合って反省して……そうしたら前を向いて歩いてほしいんです」