眠れぬ夜を過ごすと、朝早くにスマホが震えた。
朝陽が急変したのではないかと慌てたけれど、電話の相手は新聞社の増田さんだった。


『朝早くにごめん。いじめの件、いろいろ取材してるんだけど、学校はやっぱり取材拒否なんだ』

「そう、ですか……」

『ただ、こちらが証拠を握っていることをチラつかせておいたから、諦めるのは早いけどね』

「はい」


単なる経過報告なのかと思ったら、次のひと言に驚いてしまった。


『僕、記者生命かけてみようかと思ってる』

「記者生命?」


どういうこと?


『うん。自分なりに岸本さんについて調べたんだ。きみのクラスメイトにも話を聞いた。皆、口は堅かったけど、ちゃんと罪悪感のある子もいて、匿名ならっていじめを見たと認めた生徒もいた』

「本当ですか?」